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M&A LINEコラム【第10回】
私的整理・法的整理の比較、考え方

私的整理・法的整理の比較、考え方

後継者問題等で事業を続けることができず廃業する場合、会社を清算します。その際、資産よりも負債が多いときに取られる手段が、法的整理や私的整理です。これらは、事業再生する手段として活用されることもあります。
今回は、法的整理・私的整理について解説するとともに、どのような効果があるのかをまとめました。

法的整理・私的整理では倒産処理をする

廃業にあたり、会社の資産よりも負債の方が多い場合、債権者や株主に分配する資金が不足するため、倒産処理をしなければなりません。その時に取られる手法が、「法的整理」と「私的整理」です。

文字通り、法律に定められたルールにのっとって処理を進めるのが「法的整理」で、債権者と自主的に協議して整理を進めるのが「私的整理」です。

法的整理とは

法的整理には4種類あり、それぞれ手続きを進める際に使う法律が異なります。会社を清算する場合には破産手続(破産法)と特別清算手続(会社法)が、会社を再建する場合には再生手続(民事再生法)と更生手続(会社更生法)が使われます。

法律が異なるため細かい手続きに違いはありますが、いずれも裁判所の管轄下で弁済していくものです。法的整理全般に共通するメリット・デメリットには次のようなものがあります。

【メリット】
・ルール通りに決められた手続きで進められる
・一部の債権しか返ってこないが、全債権者に公平な手続きである

【デメリット】
・手続きが複雑で、完了まで時間やコストがかかってしまう
・「法的に倒産した」ということが周囲に知られる

法的整理に入ったことが官報に掲載され、全債権者に通知されるため、「倒産した」ということが周囲に広まりやすいと言えます。事業再生のために行う法的整理であっても、会社の事業価値が毀損してしまう可能性もあるでしょう。ただ、裁判所の管轄下で行われるため、手続きが複雑でも、粛々と処理を進めることができます。

私的整理とは

私的整理は、法律の手続きとは関係なく、会社が債権者と自主的に協議して倒産処理を進めていくものです。

【メリット】
・決められた手続きがないので、柔軟に対応することができる
・法的整理と比べて、倒産したことが知られにくい

【デメリット】
・再建計画や弁済方法の賛同を得られなければ、私的整理を進めることができない
・裁判所による会社の資産保全がなされない

私的整理は法的整理のようなルールがないため、手続きを簡素化してすばやく進めることができます。ただ、債権者の賛同が得られなければ、そもそも私的整理をすることができません。

私的整理を行っていることは官報に掲載されないため、倒産した事実が周囲に知られにくいのは事実です。しかし、法的な倒産でないだけで、事実上の倒産であることに変わりはなく、会社の事業価値が「毀損しにくいだけ」である点には注意が必要です。

私的整理でも事業再生をすることができる

再生型の法的整理と同様に、事業再生の手段として私的整理をすることができます。
決められた手続きが定められていないため、特定の債権者だけと非公開で協議し、事業再生に向けた計画を進めていくことが可能です。

金融機関からの借り入れが大きくなっており、元本と利息の返済が負担となって事業の継続が難しい場合などであれば、返済プランをリスケジュールしたり債権放棄をしてもらったりして、事業を再建していく方法があります。こういった方法であれば、私的整理したことが取引先に知られることなく、倒産企業のイメージを持たれずに事業再生を進められるでしょう。
しかし、再建計画に同意してもらうのは簡単な話ではありません。法的整理よりも企業イメージが守られるからと、安易に私的整理を行ってしまうのは危険です。

選択肢がある早いうちに動き始めることが重要

事業を廃業させる場合でも再生させて継続したい場合でも、整理が必要な場合は早めに動き始めることが大切です。もちろん、経営者として、会社を倒産させることは避けたいことです。早くから準備を進めていけば、法的整理・私的整理だけではなく、より多くの選択肢から最善の方法を選ぶ余裕が生まれます。

私的整理で金融機関に一部債権放棄や返済プランの交渉をしても、すぐにまとまるわけではありません。話がなかなかまとまらず、その間にさらに業績が悪化したり決済資金が不足したりして、破産以外の選択肢がなくなってしまうかもしれません。最悪の場合、債務の連帯保証人である経営者も自己破産することになり、その後の生活の負担になることも考えられます。

時間があれば、私的整理の交渉を進める以外にも、一部の事業を売却するなど、幅広い選択肢を検討する余裕が生まれます。早いうちから、法的整理・私的整理以外の方法にも詳しい弁護士や、事業再生にも詳しいM&A等のアドバイザーに相談することをおすすめします。

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