M&A LINE コラム

M&A LINE COLUMN

M&A LINEコラム【第12回】
自己破産時の制限と治癒の時期

自己破産時の制限と治癒の時期

廃業や倒産処理を行った結果、連帯保証していた債務を返済しきれずに経営者が自己破産せざるを得ない場合があります。自己破産の後で、ふたたび事業を起こすことは可能ですが、資格が使えなかったりするなど、いろいろと制限があります。その内容について解説します。

自己破産とは

中小企業では、金融機関から借り入れる際に、経営者が個人保証を求められるケースがほとんどです。この債務が残っていて債務超過状態で事業の廃業や倒産処理をした場合、経営者は連帯保証人として残った債務を返済する義務が発生します。
会社の倒産等に伴って経営者が自己破産しなければならない義務はありませんが、多額の債務を返済するめどが立たず、自己破産せざるを得ないケースも少なくありません。

自己破産とは、支払い不能になった債務者の財産等を清算するもので、破産法という法律に定められています。破産法の目的は、「債務者の財産等を適正・公平に清算すること」と「債務者の経済的更生を図ること」です。

自己破産によって制限されるものがある

債務者にとって自己破産は債務から解放されるものとも言えますが、本来返すべきものを返せない結果の手段ですから、当然に制限されることもあります。主なメリット・デメリットには次のようなものがあります。

【メリット】
・債務の取り立てがなくなる
・最低限の財産を残すことができる
・家族の財産は守られる

【デメリット】
・官報に掲載され、ブラックリストにも掲載される
・裁判所の許可なく住所を移転することができない
・資格が使えなくなる

ブラックリストに掲載されると、金融機関から新しく借入することができなくなるのはよく知られていることですが、新しく事業を起こすことは制限されません。自己破産してから、再起を図るために事業を起こすことはできるのですが、その際に自己破産したことが足かせになることもあります。

自己破産の後で事業を起こした場合に注意すべきこと

自己破産の後で事業を起こすと、経営者が破産者であることで発生する問題が3つあります。

1.金融機関からの借り入れが難しくなる
新しく立ち上げた法人は破産者ではありませんが、破産者である経営者を連帯保証人として借り入れることができません。そのため、自己資金のみで事業を維持できない場合、経営者以外の連帯保証人を用意する必要があります。

2.経営者の公的な資格が制限されている
自己破産すると、弁護士・税理士・宅地建物取引主任者などの公的な資格が使えなくなってしまいます。その資格がなければできない仕事であれば、自己破産の手続き開始から復権(制限が消滅すること)までは事業を行うことができません。

3.許認可の欠格要件に該当する場合がある
新しく事業を行うために、営業許可等の許認可を受けなければならない業種もあります。建設業や古物商など、許認可の条件に「破産者で復権を得ない者」などとされている場合、経営者が復権していないことを理由に許認可が受けられません。

自己破産の制限が解けるのはいつか

上記のような問題を解消するにはどうすればいいのでしょうか。

1の借り入れについては、ブラックリストから解除されるのを待つ以外ありません。解除までは5~10年ほどかかると言われているため、それまでの事業資金をどう確保するかを検討しておくべきでしょう。

2と3については、復権することで、資格が使えるようになり、許認可の欠格要件にも該当しなくなります。復権する条件はいくつかありますが、もっとも一般的なのは「免責許可の決定」が確定したときです。
免責許可の決定までは、通常、破産手続開始決定から2~3か月ほどかかります。

廃業が自己破産につながってしまわないかを確認しておくべき

以上のように、自己破産したからといって、経営者として再起できなくなるわけではありません。しかし一方で、資格の制限や借り入れが困難になることなど、足かせが多くなってしまうことも事実です。

廃業等を考えるときは、経営者である自分自身が自己破産しなければならなくなるのかまで確認しておくことが重要です。仮に、自己破産が必要となった場合、次に起業するのに問題になってこないか、その後の生活に支障が起きないかを考えておきましょう。

とはいえ、自己破産を避けられるものなら避けたいところです。そのためにも、廃業等以外の方法も検討しておくことをおすすめします。
「法的整理ではなく私的整理をする」、「事業の一部を売却して資金を確保する」など、他の手段が取れる可能性もあります。もちろん、廃業や倒産処理以外に手段がない場合もありますが、様々な手段を検討しておくことで、より自己破産リスクを抑えることもできるでしょう。早いうちに、詳しい専門家に相談することもひとつの選択肢です。

お問い合わせ