M&A LINE コラム

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M&A LINEコラム【第14回】
バトンズ及び後継者不在の企業に対する国の対策

バトンズ及び後継者不在の企業に対する国の対策

現在、中小企業の多くが、後継者がいないことに悩んでいます。これは、個々の企業だけの問題ではなく、日本経済にも打撃を与えかねないことであり、国にとっても重大な課題です。そこで、M&A等も事業承継の手段として考え、公的な機関で後継者を探すサポートをし、事業承継での税制優遇策も打ち出しています。また、M&A仲介会社もネットを使った支援サービスを展開し始めています。

中小企業の最大の課題は「後継者問題」

日本には400万社を超える中小企業がありますが、経営者が高齢になってきているにもかかわらず、後継者が未定の企業が多くあります。
2019年の中小企業庁の資料(※)によれば、2025年までに、70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人になるとみられ、そのうち約127万人は、後継者が未定だそうです。

昔から、中小企業では経営者の子どもや親族が後継者となることが多かったのですが、少子化や経済の先行きへの不安から、後継者候補が見つからないケースが増えているようです。

これらの企業・事業者が、後継者を見つけられずに廃業してしまうと、日本の雇用やGDPにも深刻な影響を与えてしまうかもしれません。そこで、政府も事業承継を全面的に支援する体制を整えてきています。

※中小企業庁 2019年11月7日「事業引継ぎガイドライン」改定検討会資料
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/hikitugigl/191107hikitugigl.htm

公的機関が後継者を探す支援をしている

子どもや親族、内部人材に後継者候補がいないとなると、廃業を避けるためには、会社の外で後継者を探してくるよりほかありません。しかし、「この人になら事業を任せられる」という人が簡単に見つかるはずがないことは想像に難くないでしょう。

そこで、経営者とM&Aを含めた後継者候補のマッチングをどうやって進めるかという課題が生まれます。この課題を解決するために、公的機関がさまざまな支援をしています。

「事業引継ぎ支援センター」は平成22年度に設置された、事業引継ぎ専門の支援機関です。中小企業経営者の事業承継問題についての相談を受け付けており、第三者への会社や事業の譲渡についての解決策を支援してもらうことができます。ケースによってはM&Aの実行支援まで行うこともあるようです。
全国47都道府県に設置されており、事業引継ぎポータルサイト(https://shoukei.smrj.go.jp/)で全国の窓口を調べることができます。

事業引継ぎ支援センターでは、「後継者人材バンク」という事業も行っています。これは、創業希望者などを登録しているもので、後継者不在で悩む経営者とのマッチングをサポートしてくれるものです。

事業承継を促進するための課税猶予措置

上記のように、事業承継を支援する体制が整えられていても、事業承継の際にハードルとなるのが「株式の譲渡」です。

事業承継する人が、一旦その会社に入社し、代表者になるのであれば、「事業承継税制」が活用できます。
事業承継税制は、条件を満たす事業承継を行う場合に、株式の譲渡にかかる贈与税・相続税が猶予・免除される制度です。

事業承継を促進するために、平成21年度に事業承継税制(一般措置)が創設されましたが、税金が免除されるための条件が厳しいものでした。平成30年度の改正で「特例措置」が導入され、税金の猶予・免除の条件が大幅に緩和され、とても使い勝手の良い制度になりました。

M&Aで他の企業に株式を譲渡する場合、現在のところは税制上の支援はありません。しかし、株式を譲渡したことで得られる利益への譲渡益課税猶予措置を講じるよう、金融庁が令和3年度の税制改正にあたっての要望をあげています。

民間のM&A仲介業者も事業承継に力を入れている

政府が事業承継対策に力を入れているのと同様に、民間のM&A仲介業者も、中小企業の事業承継支援サービスを拡充しています。
M&Aと言うと、大企業がするものというイメージがあるかもしれませんが、事業承継のひとつの手段として増加傾向にあります。中小企業を専門とするM&A仲介業者もあり、後継者不在に悩む経営者への支援を強化しているようです。

M&Aの買い手を募ることができるマッチングサイトも

近年では、BatonzやTRANBIのようなインターネット上のM&Aマッチングサイトも登場しています。
ネット上でM&Aの買い手を探す最大のメリットは、より多くの買い手に自社をアピールできることです。M&A仲介業者で買い手候補を探す場合は、その業者の持つネットワークの大きさに頼ることになりますが、ネットであればより多くの情報が集まってくるので、候補者が見つかりやすくなると言えます。
また、成約にかかる報酬が格安であることもメリットです。

とはいえ、安くて多くの候補者が見つかるとしても、必ず良い買い手が見つかるわけではありません。自社を承継してもらうのにふさわしいかを判断し、売却先で事業にとっても従業員にとっても明るい未来になるようなM&Aにすることが最も大切なことです。
公的機関、対面での仲介会社、マッチングサイト、それぞれの良さや相性などを見ながら、どうやって事業承継を進めるかを慎重に検討するようにしましょう。

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