柔軟かつ公正な人事をつらぬく。
私より適任だと思える人材がいるから、
トップを譲るという決断もできる。

ファウンダー

眞藤 健一

FOUNDER INTERVIEW

ファウンダーインタビュー

2019年8月に代表取締役を退任した。

KSGの未来を見据えて社長を寺崎に任せることにしました。彼のこれまでの功績を考えればトップにふさわしいですし、タイプ的にも私より社長に適任だと思います。私は一歩引いた立ち位置でかまわない。いまのKSGにとってこれがベストの人事だと考えます。ですから今後の戦略や構想は社長の寺崎に聞いてください。私は創業者の立場から、過去に構築してきた人事制度や採用の考え方についてお話しします。

数年前から週休3日制を導入している。その意図は?

仕事が嫌いだからですよ(笑)。いえね、少しでも短い時間で仕事を終わらせて、趣味などを楽しんだほうがいいじゃないですか。そもそも現代のビジネスパーソンはオーバーワークです。コミュニケーションツールの進化によって、一人ひとりの労働量は過去と比べて増大しています。従来が週5日の労働であれば、それと同等以上のパフォーマンスが週4日でも充分にできる時代です。
ましてやKSGの社員は、プレーヤーというよりコンダクターです。自らプレーする必要はない。指揮者として適切に振る舞うことが重要であって、労働時間がイコール成果にはならない。

なぜ社員はコンダクターなのか?

KSGには、プロジェクトごとに社内外を問わず最高のチームを編成し、最高の仕事をするというコンセプトがあります。たとえばM&A案件は多様な業種業態に対応しなければなりません。結果、チーム編成も案件ごとにケースバイケースで変化します。社員の仕事は、それぞれのプロジェクトに合ったチームをつくり、指揮していくことです。
つまり、自らプレーすることより、指揮者としての資質が求められるわけです。最高のチームは、自分より優秀なメンバーで構成された集団です。あらゆるジャンルにおいて自分より優れた専門家をキャスティングし、ディレクションする。けっして自分がプレーヤーとして秀でていなくてもいい。有能な人を起用し、統率すればいい。これができる人が、最大の成果を追求できるビジネスパーソンです。

どんな職種にも当てはまりそう。

営業の仕事もそうですよね。仕事をつくるためにいくら個人ががんばっても、生み出せる成果には限界があります。個人じゃなくてチームをつくり、たとえば情報網を拡げていくほうが大きな営業成果を生みやすいでしょう。私たちの仕事も同様で、M&A担当のディレクターがつくるべきなのは、ディールを成功させるチームとともに、ディールをつくるためのチームが必要です。

チームは社員が自由に編成することになる?

そこに制約はありませんね。私たちのプロジェクトはつねにオーダーメイドです。いわば「なんでもアリ」ですからチームも自由かつ柔軟に編成する必要がある。制約を設けること自体がナンセンスだと思います。
ただ、自由であるがゆえの難しさはありますよね。KSGの社員にはそこにチャレンジしてほしい。フリースタイルという最も難易度の高い仕事を自分のものにしてほしいです。フリーというくらいですから、働き方もフリーランスのようでいいとさえ思っていますよ。社員は、いわゆる社員というよりパートナーです。お互いが成果をあげるための関係性ですね。
だから本質的な意味では、社員を求人しているわけじゃない。雇用形態が大事なのではなく、パートナーシップのほうが重要です。現にフリーランス契約しているスタッフもいますし、在宅勤務をしている人もいます。さらに言えば副業も当然OKですしね。

独立も問題ない?

仮に退社・独立するという人に対しても、社外パートナーとしてチームの一員でいてほしい。KSGが一緒に仕事がしたいと思える人材でありつづけてほしいと思います。私はこれを「終身パートナーシップ」と呼び、一度パートナーになっていただいた方々との縁を重んじるようにしています。ですから私はKSGを退社して独立しても応援するんです。プロとして生きる上で、独立という選択肢もあるでしょうからね。

プロ意識の高い人がいいですね。

最初にも言いましたが、求めているのはたくさん働くことではありません。成果です。成果を最大化し、手にする報酬も最大化してほしい。社員は仕事と契約している、もしくはプロジェクトと契約していると考えてください。プロジェクトのなかで成果をあげれば、インセンティブを惜しみなく支給する制度も整えています。そのうえで固定給もしっかりとしたものを約束するなど、待遇面は充実させているつもりです。ただし、それがベースになってはいけないと思います。プロフェッショナルなのですから。

報酬のみならずキャリアアップも実現できる?

KSGの人事は柔軟かつ公正だと自負しています。その好例として、私は社長を退き、寺崎をトップに据えました。そこに他意はありません。彼の能力と、これまでの貢献と、組織全体のことを考えて、正しい人事を行ったつもりです。社員のキャリアアップも同様の姿勢で考えていく。それはKSGのカルチャーと言ってもいい。成果と能力を見せてくれれば、みなさんも期待してくださって結構だと思います。